自分の感受性くらい

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Posted by omurostaff | Posted in 入院棟増築 | Posted on 23-02-2017

自分の感受性ぐらい

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性ぐらい
自分で守れ
ばかものよ

茨木のり子
詩集「自分の感受性ぐらい」(1977刊)所収

『仕事と家庭の両立』。
永遠の課題かもしれません。
特にまだ小さい子供がいる中働いている 世のお母さん達にとっては。
一旦 歯車が狂いだすと 様々な事が期待通りに回らなくなり 苛立ち焦り・・・
時間が足りない、人手が足りない、と
まさに心がぱさぱさに乾いてゆきます。

思い通りにいかないことを他人のせい、環境のせいにするのはある意味簡単ですが
それだけではいつまでたっても不満の種は尽きず 表出する問題は違うように見えても
根幹は同じことの繰り返し。
『自分にしかできない、任せられない』と思っていることも実はそうでもなかったり、
『助けてくれない』のではなく『助けを求めていないように見えている』のかもしれなかったり。
時には今抱え込んでいることをすべて投げ出して初心を思い出すことも必要かもしれません。

この詩のようにすべての責任を自分に問うことまではせずともよいとは思いますが
柔らかさ、感受性は生きてゆく上で失ってはいけないものですね。

自分の感受性くらい。

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